レセプトオンラインQ&A    レセプトオンライン勉強会 編

以下は或るメーリングリストにおいて配信された私的な質問に他のメンバーがレスされた内容を纏めたものです。現時点で実際にレセプトオンラインを経験している方も居られます。現状では、レセプトオンラインの”義務化”には反対の立場ではあるけれども、来るべき変化に準備しておく必要はあろう、との観点から、他の皆さんにもご参考になれば、とメンバーの了解を得て公開しました。(平成19年9月13日)

 

1 現在クリニックには使用していませんがISDNが来ています。これは利用できますか?
 セキュリティーで言えばISDNが一番です。発呼番号認識によるダイヤルアクセスですから。(最強!!!!)。ターミナルアダプタからUSBあるいはRS232Cで分岐することになると思います。
ただ、基金は推奨していません。http://www.ssk.or.jp/claimsys/claimsys06_i.html通信する時間は、可能な範囲で短くした方が無難です。当然ですがISDNと光を交互には無理と思います。
 
2 オンライン請求は自宅からではだめですか?
 オンライン用のコンピュータとして自宅のものを登録すれば可能です。
認証は請求に使用するPCに対するファイル認証ですので、ご自宅にISDNあるいはフレッツ の環境があれば、認証に使うPCを自宅において繋ぐことは可能だと思います。ISDNの場合には発呼番号が決まってしまいますの でどちらか一方ということになります。フレッツの場合にはPCを認証しますので、どこでもOK。 ISDNだったら番号が確定するからPCの認証はいらないのではないか・・だから認証料を払う必要はないのではないか・・と粘ってみたのですが、駄目でした。
 
3 ISDNを利用することなく光に変更したほうがよろしいでしょうか?
 オンライン請求だけでしたらISDNで速度的にも問題ありません。そのままでも良いと思います。せいぜい数百KBのテキストファイルを送るだけですから時間もあまりかかりません。インターネットも利用したいと言うことであれば速度的にブロードバンドが有利ですからフレッツを使われればよろしいと思います。
現実的にISDNでインターネットはつながないと思いますので、光に変更して、ルータをかまして、オンライン接続用の回線を分離するのが現実的と思います。
http://www.ssk.or.jp/claimsys/pdf/claimsys06_01.pdf
 
4 月遅れ請求、返戻のレセプトは電子請求になった場合どのように対処すればよろしいのですか?
 月遅れはレセコンで一緒に電子請求です。返戻分に関してのみ返戻が紙できますので、それを送付する必要があります。 08年中には返戻も電子的に対応し総括表も不要になる予定?  
埼玉県では国保だけはオンラインでデータを送付した後に、紙で総括表を出さなければいけません。大分県も国保連はオンラインでも紙の総括票が必要らしい。総じて支払基金は電話などの応対も丁寧で,電子請求についても積極的のようです。返戻・月遅れ・総括表については都道府県や支払機関(基金,国保連)によって微妙に差があるようですので管轄の支払機関にご確認ください。
 
5 PCは中古ではだめでしょうか?このオンライン請求のためだけに新しいPCを用意する必要がありますか?また、その請求に利用したPCは日常はワードも含めて他の作業には使用しては絶対にいけないのでしょうか?
 中古でも全然問題無いです。ただ、formatして新たにinstallしたものの必要がありそうです。一応現在は、XPとIEは6が必要です。NTT以外にKDDIとソフトバンクに交渉中だと基金は言っていました。但し、外から攻撃されるようなアプリは使わないようにしなければなりません。8月からLinux(Debian)とFireFoxの組み合わせもOK。Vistaは12月対応予定。日レセの場合請求用に別の機体を用意しなくても良い,ということを耳にしたのですが,先生のところでは日レセの載っている機体から請求されますか?
まだ、厚生省のプログラムが届いていないので何とも言えませんが、おそらく、ORCAから直接請求する場合、FDに落とさず、ダイレクトにファイルをDebianマシンから送るようになると思います。その場合、トラブルが起こった時の問題の切り分けが煩わしいので、やはり、ORCAはレセ電作成まで、オンライン請求は送信専用のWindowsマシンを用意するつもりです。でも、将来的には、どうなるか分かりません。
 今の条件ですと「オンライン請求にはまっさらなPCが必要」と受け取れますので実はここが一番導入コストに関わるのかもしれません。請求に使われているPCにどんなソフトがインストールされているかは受け取る支払機関側に解りません、それが可能なんてことになったらそれこそとんでもないことです。この条件も回線の縛りと絡めて変わっていく可能性がありますので、オンライン請求は現在の条件を無理なくクリアできる方、( ISDNあるいはフレッツ回線がある,使っていないPCがその辺に転がっている,電子請求が問題なく出来ている )以外は「様子見」が得策ではないかと考えます。
 
6 FDでの確認の申請をしたらオンライン請求までの期限が強制的に設定されてしまうのでしょうか?もし不具合が多くて次の段階に進めない状態になっても締め切りばかり迫ってくることが心配です。
 良く誤解されているところですが、それは無いです。オンライン請求に関しては、将来、少し変更があると思います。とにかく、レセ電での請求に、まず切り替えることが賢明かと。絶対に、レセ電請求に切り替わります。現在紙レセプトで請求されている医療機関がオンライン請求に到達するためには二つのステップがあります。第一が請求内容を電子化する作業でこのステップを「レセ電」と略称しています。このステップで電子媒体(FD,MD,CD-R)による請求が可能となります。レセ電化については確認試験が2-3ヶ月でほぼ本請求に移れると思います。第二がこの電子データを通信回線に乗せて送る作業で,この「電子データの電送」が行われて「オンライン請求」となります。大事なことは上記の第一段階と第二段階は完全に別個の工程であり一体化して行う必要はないということです。ですから私はいつもオンライン請求についてお話しするときに「FDによる電子請求は早めに確認試験を受けて可能であれば本請求を,オンライン請求についてはハードウェア・通信回線・接続用ソフトウェアの必要条件が流動的であり慌てて対応する必要はなく様子見で良い」とご説明しています。支払基金の立場としても上記のような対応を望んでおられるようで「オンラインの環境が整わないことで電子請求自体を先延ばししないでどんどん確認試験を受けて頂きたい」と言っておられました。
 
7。素朴な疑問〜なぜオンライン請求を拒むのか?
 現在厚生労働省が出しているオンライン請求の経路はISDNとNTTのBフレッツ経由に限られています。将来的にどうなるかは別として、Bフレッツ限定は一社独占で、費用も別に発生すると考えられます。またレセスタといってレセコンのデータを電算請求用に書き換えるソフトがありますが、これは主に病院用であり、診療所ではそのソフトのメンテ料としてかなりの高額を負担せねばなりません。そのお金は某企業にいきます。すなわち、オンライン請求そのものは時代の流れとして仕方がないところがある、と百歩譲ったとしても、医療費の自己負担以外の部分を患者さんにかわって代行請求をしていると考えてもよいような業務に高額な費用負担を 義務として強いること、そして、その費用が特定の企業に独占されるという点では、納得の行かないところがあります。
 それより以上に危惧されるのは、電子的に集めた診療情報が国民保健 データとして他に流用される懸念が大きいことです。診療情報から国民健康データを解析することについては、日本医師会も言及したことであり、保険病名に学術価値があるかどうかの議論は別として、必ずしも悪いことではありませんが、現状でも介護保険や所得制限の 確認のために、役所が保持しているデータとレセプト情報との突き合わせがある程度行われていることを見ると、将来的に医療費削減策の一環として、特定健診のデータやその他の健康データを詰め込んだ巨大個人健康データベースへの発展は十分に考えられるところです。
 一面から見ると国民にとって自己の健康データが系統的かつ一元的に集約されることは必ずしも悪いことではないと思われます、ところが、この情報を渇望しているのは国民ではなく、民間生保会社であることは良く知られているところです。以前は「入院特約」「がん保険」などの名前しかなかった生保会社の商品を「医療保険」と言い出したのはここ数年のことです。これらの「医療保険」を民間が運用する上で必要なのはリスク回避で、それには国民健康データベース(EHR)は大変重要な資料となります。
 「オンライン請求」の実態が実は国民のデータのデジタル収集にあり医療費削減のための政策データとして使われるだけでなく、特定業界の利益のためにあるとするならば、その点において反対すべきものではないかと考えます。
 オンライン請求そのものは、前述の事項に対する歯止めさえあれば、海外の例をみてもやがてはわが国でも実施すべき課題とは思います。
8。現状はどうか?
月間/保険診療・2007年8月 より〜

レセ電算及びオンライン請求状況(平成19年7月請求機関数)
400床以上( 827) オンライン:313 メデイア: 112 紙: 402
400床未満(8,071) オンライン:139 メディア:1,262 紙:6,670
レセプトのオンライン化は医科全体で11.0%、08年4月に義務化される400床以上
の病院でも51.4%、進んでいないのが現状。