10回女性と医師の語る会

講演「大丈夫??“家族(あなた)”の健康管理」

大阪府内科医会 副会長泉岡利於


  



 特定健診というのは地区によって違います。ですから大阪市であったり、堺市であったり、門真市であったりということで、市によっても違いますし、それが十分であるとはとても言えないという現実があります。それで、日々の生活の中でどういうことに気をつければ健康で生きていけるかということをお話しできればいいかなと。ただ、約30分という短い時間ですので、十分なことが言えるかどうかはわかりませんが、できるだけそういうお話をさせていただこうかと思います。

 日本人の死亡原因の1位は皆さんもご存じのように悪性新生物、2位が心疾患、3位が脳血管疾患です。心疾患と脳血管疾患というのは、どちらも動脈硬化です。動脈の閉塞に伴って、あるいは破裂に伴って起こってくる疾患だということでいいますと、この二つは血管系の病気であるというふうにまとめられるかと思います。ということになりますと、悪性新生物が3割、血管の病気が3割ということで、この二つを何とかすれば、全体の死亡原因の6割は何とかできるという計算になります。

 ですから、まず第1番目の悪性新生物というのをどうするかということですが、「悪性新生物」とややこしい名前がついていますが、いわゆる「がん」です。肺がんとか、そういうがんのことです。がんといいましても、当然のことながら、いろんな種類があります。ご存じのように、胃がんであったり、肺がんであったり、乳がんであったり、白血病、血液のがんであったりとか、いろんながんがあるわけですけれども、今は非常に医学が発達しています。昔、私が医者になったころは、がんが見つかったらちょっと厳しいかなということでしたけれども、今やもう、がんが見つかっても大したことはないと言うと言い方が悪いですが、非常に根治術ができます。

 ただし、一番大事なことは早期発見をするということです。医学が発達しているとはいいましても、もう相当進行したがんに関しては、やはり今の医学では、根治する、完全に治してしまうことは難しい。ということになりますと、いかに早く見つけるかということが一番大事なポイントになってくるかと思います。

 早く見つけるということでいいますと、患者さんによっては、採血をして「私、血液をとったから大丈夫よね」と言われる方も多いですけれども、血液をとって大丈夫か、がんが見つかるかというと、相当進行しているがんであれば見つかるケースもあるかとは思いますけれども、非常に早期のがんを血液だけを見て理解するというのは非常に困難だということが、あまりわかっておられない方もおられるかなと思います。すべてではないですけれども、ここにも書きましたが、逆にほとんどの場合、採血では早期発見できないと言えるかと思います。

 そうしたら、何に注意していけばいいのかということになるかと思います。ここで挙げたのはすべてではないですけれども、ポイントだけお話ししますと、採血で何がわかるかというと、やはり血液のがんです。白血病とか悪性リンパ腫とか、そういうものは血液でわかります。

 よくがんの採血ということで腫瘍マーカーという、がんのときに上がるマーカーがありますが、実際に保険適用のあるがんのマーカーで早期でわかるのは、私が知っている限りでは、男性の方の前立腺がん。これはスクリーニングで、血液の腫瘍マーカーでわかりますけれども、そのほかの腫瘍マーカーは、よほど進行していないとわからないケースが多いです。ですから、腫瘍マーカーをはかって、ああ、私はがんは大丈夫だと考えると、これは大きな間違いになりますので、その辺は理解していただきたいと思います。

 次に、胸部レントゲンです。胸部レントゲンでは当然、肺がんがわかるわけですけれども、これも実は、レントゲンというのは平面です。真ん中に心臓があるわけで、心臓の裏側にある肺がん等は見落とすケースがあります。ですから、例えば、せきがとれないとか、あるいは背中が痛いとか、何か症状があったときには、レントゲンだけでは不十分なケースもあるということを念頭に置いていただきたい。

 胸のレントゲンを撮っても、やはり何か気になるということであれば、CTまで撮っていただくことも、かかりつけ医の先生とご相談をしていただいて、必要ではないかと思っております。ですから健診のリストで、ご希望であればCTというのも最近、肺に関してはふえているというのは、こういう理由があるかと思います。

 次に、おなかのエコーです。おなかのエコーで何がわかるかといいますと、よく「これで私、胃とか大腸は大丈夫ですか」と言われるんですけれども、おなかのエコーでは腸管というのは基本的には映りません。ですから肝臓、腎臓、膵臓、胆のうということがありますけれども、ただ、エコーに関しては、メリットは簡単だということです。簡単にゼリーを塗っておなかをなでればわかるというメリットがありますが、体型によってわかる範囲が非常に限られてきます。

 ですから実際のことをいいますと、非常に立派な体格の方というのは、音波でやっていますので検査によって個人差があるということも理解していただけたらと思います。それから、エコーで膵臓がんを早期で発見するというのは非常に難しいケースが多いですので、膵臓がんを疑う場合は、エコーだけでは難しいのかなと思います。

 次に、胃透視です。胃透視に関しては、胃がんということになりますが、最近、消化器の専門の病院でも、胃透視と胃カメラとの比率というのは大体1対9とか2対8ということで、胃カメラをどんどんしていくようになってきています。バリウムというのは造影剤を飲んでもらいますので、いわゆる影を二次元に見ているということですので、できたら年に1回、胃カメラを受けていただくことが一番いいかなと。せめてバリウムは飲んでいただくのが一番いいのかなと思います。

 それから、注腸検査というのは、これは胃透視の逆で、肛門のほうからバリウムを入れるという検査ですけれども、これは大腸がんということになります。これも、やはりカメラのほうが有用性が高いということになります。

 一番簡単にわかるのは、便潜血というのがあります。つらい検査は、やはりしにくいというのがあります。胃カメラ、大腸のカメラ、あるいは胃透視、それから注腸。この四つに関しては、やはりつらいというのがあるかもわかりませんが、便の潜血というのは、便をピッと突き刺すだけですので、簡単にできます。ただ、症状があれば、やはりこういう検査を受けていただきたいです。症状が全くなくて、家族性の大腸がんや胃がんの方もないという方であれば、とりあえず最低は便潜血をしていただくというのが、大まかにわかる検査かと思います。

 ですから、悪性疾患を考えるときに、このような検査を少なくとも年に1回していただくことが、結局、悪性疾患、がんの予防につながるということで、勘違いしていただきたくないのは、採血だけ1本したら、がんも動脈硬化も全部わかるんだということではないということをご理解していただけたらと思います。

 もちろん、女性の乳がん、子宮がんの検診というのも非常に大事になります。40歳を超えますと、やはり年に1度はそういう女性の、今、ピンクリボンといいまして、乳がんの運動を全世界的にやっています。ですから施設的にも乳がん検診、マンモグラフィ等をしている医療機関が非常にふえていますので、こういう女性特有のがんも、年に1度は検診を受けていただくということが非常に重要になります。

 ということで、1番の悪性疾患というのは、年に1回はそういう検査を受けていただく。早期に発見していただく。早期にさえ発見すれば、今、医学は本当に発達していますので、根治術ができます。症状が出てから〔検索?〕すると、ちょっと遅いケースもありますので、症状がない間に、今お話しさせていただいたポイントで検診していただくということが重要になるかと思います。


つづく・・・・

 
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