講演T
「お肌の若さを保つために」
河合皮フ科医院 院長
        河合 公子
 

 座長の西谷理事から、河合先生は大阪府医師会会員であり皮膚科の医師であるが、お肌に関心を抱かれて「美容皮膚科」という分野を日本で開拓され、20年間以上の努力の末、その成果が認められ、現在、テレビや雑誌で引っ張りだこの先生であると紹介が行われた。
 河合先生は講演に先立って自己紹介をされた。講演内容ももちろんのことであるが、これこそが女性が生き生きと生きるための一番の秘訣では思わされるものであったのでここで紹介したい。
 先生は高校卒業後、家庭の事情などもあり7年間、OLとして働かれていたが、一念発起して医師になることを目指され、苦学の末、奈良医大に入学された。先生は「自立して生きていく」ということを10代のころから考えておられたという。人間として生きていくにはどうしたらよいか、女性として家庭を持つのも良いが、最終的には自分自身で地を歩いて一生を終わりたい。そのためには仕事を持って自分で収入を得る、しかしやはり女性として家庭を持って子供を持ちたいという気持ちも強く結婚、医学部5年生の時に妊娠・出産されたという。昭和60年に第2子を出産、しばらくは医師の仕事は片手間であったという。しかし皮膚科という立場で、ニキビの女性、毛深い悩みの人が無許可の美容整形に行くのを見ていて、皮膚科の医者としてその分野で仕事をしていきたいと考えるようになっていったという。 先生自身は自分のことを「欲深い」とおっしゃられたが、この積極性こそが生きていく上に大切なことなのではと感じさせられた。
 

講演 要旨

 アンチエイジングという言葉を知っていますか?この問い掛けから講演は始まった。会場内ではあまり認知されていない言葉であったが、訳すと「抗加齢」、心も元気、身体も元気な状態で少しずつ年をとっていくという考えである。
 理想の肌は水分80%、シミもシワもない、赤ちゃんのプリンプリンとした肌のようなことをいう。老化した肌は錆びる、しぼむ、風化する、枯れるといったもので、原因は紫外線の蓄積、活性酸素による酸化作用、女性ホルモンの減少などである。さらに、外見が年とっていくだけでなくあちこちが痛くなったり病気が出てきたりすることによって気分も憂鬱になり、生き甲斐を失い、夢を失って後ろ向きの考えになる、これが老化に拍車をかける。
 まず、皮膚の構造について説明が行われた。皮膚の下は表皮、真皮、トータル全部合わせて部位によって違いはあるが0.3〜0.7ミリぐらいのものである。表皮と真皮と皮下組織、この3つが皮膚である。表皮は垢となって取れていくところ、メラニンを守る色素細胞、アレルギーに関する細胞、身体の免疫に関係する細胞などがある。真皮、ここが年とともにコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などが減っていくことによってしわ、たるみなどが出てくる部位である。皮下組織はクッションの役目で、脂肪が多くあり体温保持の役目をしている。
 皮膚の役目は外界から中を守るバリア機能の役目、体温調節、感覚、免疫機能、排泄の作用、個性の判別、美容を保つということである。老化するということは1つは皮膚が乾燥するということである。水分と油分が失われ、しわだけでなくかゆみが出たりする。皮膚の潤いが失われていくことは仕方がないともいわれるが、手入れの仕方によっても違ってくる。人間は誰でも、自分の天然クリームを持っているが、それを皮脂膜という。角質細胞では角質細胞管脂質や天然保湿因子、アミノ酸や塩分が混ぜ合わされて自分自身のクリームを持っている。正常な皮膚というのは皮膚の表面上の細胞がきれいに並んでいて水分が多く、細胞分裂が正常で血液の循環が良いものである。乾燥した肌とは、こすりすぎたり洗いすぎたり、または引っ掻いたりして角質層の配列が乱れている状態、細胞分裂が少ない、異常があって薄い状態になっている。正常な状態であると、ホコリや紫外線など外的な刺激に対して非常に抵抗力があってはねのけるが、乾燥した肌の場合はバリア機能が失われているのでどんどん刺激が入ってくる。さらに血液循環が悪いと非常に刺激に弱い皮膚になってしまう。
 美しい肌は生活習慣が作るものであり、老化防止対策としては環境因子、ライフスタイル、スキンケアである。環境因子として@温度・湿度−乾燥は大敵で、外気中はもちろんのこと室内のエアコンも要注意A紫外線−年中、注意が必要B皮膚の炎症C過度な摩擦D室内のホコリ・ゴミE化学物質、石鹸・洗剤類があげられる。
 ライフスタイルが一番重要なことともいえるが睡眠、運動、食事、ストレス、アルコール、喫煙があげられる。人間の基本、生きるということは食べることであるが、好きなものだけを食べているとバランスが崩れてしまう。動物は本能が発達しているので必要なものを食べていくが、人間は脳が発達しているので、気ままに好きなものばかりを食べてしまいがちになり病気になってしまう。かなり意識してカロリーも考えてバランスよく必要な栄養素をとるように心がけることが必要であり、それによってビタミン、ミネラル、カルシウムなども摂取できると考えられる。規則正しい睡眠が必要である。睡眠時間は人によって違うが、生活や仕事に追われて寝不足が続くとしわが深くなったり顔がくすんできたりと表れてくる。運動も意識して行うことが必要である。ストレスも肌の状態を著しく悪化させるものである。嫌なことがあっても、それを乗り越えたら良いことがあるというポジティブな姿勢を持つことが大切である。またストレスから眉間やおでこの深いしわが表れることがあるが、簡単な治療によって改善することも可能である。また特に眉間にしわを寄せて話す癖のある人は意識して直すことが望まれる。
 スキンケアで大切なことは自分自身の肌の質をよく知り、それに合ったケアをすることである。洗顔をしすぎないこと、ゴシゴシ洗わないこと、洗顔した直後に化粧水とクリームで保湿、お風呂に入って自分の気になっているところを軽くマッサージすることが大切である。紫外線対策も重要である。活性酸素は人間を錆びさせるので要注意である。栄養素として必要なものはビタミンCとE、さらに強力な抗酸化物質であるコエンザイムQ10。コエンザイムQ10は自分自身で作る能力があるが、20歳を過ぎるとだんだん減ってくるので補う必要がある。食事で補うとするとイワシで20匹ぐらい、肉では3キロ、ブロッコリーだと12キロぐらい必要であるので、サプリメントで補う方法が良いと考えられる。バランスのよい食事をし、さらにコエンザイムQ10を補ってビタミンCとEの効果を活性化させることで身体は老化しないと考えられる。
 若くなりたいという気持ちが大切で、今の時代、努力して治療することで美しくなることは可能であると強調して講演は終了した。