講演2    若さの秘訣はカルシウム?
        老いは骨から始まる−骨粗しょう症の話
      
  大阪府内科医会 理事 福田 正博

 

 現在、日本は世界一の長寿国となっているが、その一方で寝たきりの人が増加していることが問題となっている。その原因の第1位、50%以上が脳卒中、第2位は骨折で、13%を占めている。骨折の原因の大半は骨粗しょう症といわれている。
 福田理事の講演では前半は骨の仕組み、役割、それに一番大切なカルシウム、後半にはカルシウムは骨に大切なだけでなく不足すると色々な病気が引き起こされることが説明された。骨粗しょう症は整形外科の話ではないかと思われている人もいるでしょうが、折れるまでは内科の仕事、折れてからは整形外科の仕事、と会場を和やかな雰囲気にさせてから講演は開始された。
 骨の仕組みを鉄筋コンクリートになぞらえ、鉄筋にあたるのが蛋白質の繊維のコラーゲンで網目のように走っていて、その周りにカルシウムとリンでできたものがくっついて強い状態を作っている。
 骨の役割は身体を支えること、内臓を守ること、血液を作ること、そして一番重要なことであるが、生命活動に必要なカルシウムを貯蔵することである。このカルシウムは筋肉や血管の収縮や拡張、免疫細胞の活性化、脳神経細胞の情報伝達、インスリン分泌などに不可欠であり、カルシウムの摂取不足では、こむら返りやイライラの症状とともに高血圧、糖尿病、ガン、アレルギーなどを引き起こす要因の一つとなる。そのゆえ生物は必要に応じて、ため込んだカルシウムをたえず一定量血液中に放出していくことが必要であり、それは副甲状腺が司っている。
 骨とは、一見何も動きがないようであるが、実は2〜3年前の骨と今の骨は同じものではない。骨を作る骨芽細胞と骨を溶かす破骨細胞がそれぞれ働きグルグルと廻っている。この変化がバランスがとれている、すなわち健康な人は作られるものと壊されるものが一定であり、骨の量、カルシウムが保たれている。骨のカルシウム量(骨塩量)は年齢とともに増加して20歳前後が最高値を示すが、その後、徐々にバランスが崩れて減少していく。
 女性ホルモンは骨芽細胞を助け、破骨細胞の活性を抑える作用、腸からのカルシウムの吸収をよくする作用がある。女性の場合、50歳前後で閉経し女性ホルモンの量が減ると骨がどんどん溶かされてしまい、骨塩量が減り正常の70%前後になる。これが骨粗しょう症である。骨塩量が減少すると骨は弱くなり、骨折を来しやすくなる。特に椎体骨に起こりやすくなり、高齢者では25から40%の人に起こる。また大腿骨頸部骨折もしばしば認められる。
 それではこの骨塩量を増やすにはどうしたら良いのであろうか。まず、しっかりとカルシウムを食品からとることである。具体的には成人で1日600mgが適正量で、妊娠中や授乳中では1100mgも必要となってくる。牛乳や乳製品には1回の食事分で200mg、小魚や干しエビに加え小松菜、ひじきなどにも豊富に含まれている。このような食品を上手に組み合わせて、バランスの良い食事をとる必要がある。
 リンはカルシウムの吸収を抑制する。インスタント食品などはリンが多く含まれいるので要注意である。そしてアルコール、喫煙、過度のダイエット、過労などを避け、適度な運動と日光浴をしてビタミンDを活性化することも大切である。
 現在の日本人の栄養摂取量を調べてみると、ビタミンなどは過剰なくらい摂取できているのに対して、残念なことにただ一つ必要量がとれていないのがカルシウムである。特に思春期の頃には、無理なダイエットなどでカルシウムが不足している傾向がみられる。若いうちからしっかりとカルシウムを摂取するように心がけることが大切である。いつまでも若々しくいるには、カルシウムをしっかりとり、適度な運動、日光浴がお勧めである。