日常診療で役立つ診断キット(第一回)
− CRPとロタウィルス −

大阪府内科医会 理事 西谷 昌也
 

はじめに
臨床検査は「検査をしたい時が、知りたい時」である。診療所や小規模病院の多くは外注に頼っているため、検査結果が出るまでには数時間から数日間のタイムロスが発生する。10年ほど前からPOCT(Point of Care Testing)が出現し、簡便かつ患者の目の前で検査結果がわかる方法として重要性が増してきた。今後、判定キットの種類はますます増加し、検査手順はさらに簡便になっていくものと思われる。今回は、CRPとロタウィルスにつき簡単に紹介する。

感度と特異度
臨床検査を評価する上で、感度と特異度は重要な要素になるが、混乱しがちな用語なので簡単に説明しておく。
感度(真の陽性率):ある特定の疾患を持つ患者に行った検査値が、陽性を示す割合。
特異度(真の陰性率):ある特定の疾患を持たない人に検査値が、陰性を示す割合。
偽陽性率:特定疾患が無いのに、検査値が、陽性を示す割合。
偽陰性率:特定疾患があるのに、検査値が、陰性を示す割合。
 どのキットにも、感度・特異度が記載されているので、100%の断定が出来ない 事を説明した上で検査することが、患者との無用なトラブルを招かないために必須と言える。

CRP(C-reactive protein)
プライマリケアを担当する診療所では、外来患者の多数は感染性疾患で占められる。その疾患の種類や重症度を推測し治療方針を決定するに当たり、末梢血白血球数、血沈、CRPなどが、用いられるが、CRPは組織障害後12時間以内に血中に増加し、半減期も19時間と短いため、炎症の程度を最も鋭敏に反映する検査法である。当院で使用しているCRPテストA(三和科学)は感度、特異度とも100%で、判定に要する時間は1分である。筆者は下村1)の方法を応用し、さらにドイツ血沈棒(一時間値6分、二時間値9分で結果が出る。残念ながら現在は市販されていないため自作が必要)を用い、患者の前で炎症の判定と経過を見ている。下村は、凝集開始時間に注目し、凝集開始時間が30秒以上で1.0mg/dl以下、15〜25秒で1.0〜5.0mg/dl、15秒以内で3.0〜10.0mg/dlとの結論を得ている。したがって筆者は、30秒〜1分を+、15秒〜30秒を2+、15秒以内を3+と判定し利用している。

ロタウィルス
冬季乳幼児下痢症の原因としてロタウィルスとSRSV(小型球形ウィルス)は日常診療での頻度が高く、細菌性下痢症との鑑別をする上で極めて重要である。外注での培養検査では1週間程度の時間がかかるため、判定キットは有用である。筆者はイムノカートSTロタウィルス(TFP)も用いている。感度は93.1%、特異度は95.8%である。判定に要する時間は10分で、保護者に対する説得力も十分にある。以下にCRPとロタウィルスの主なキットを表にした。

  (文責 西谷昌也)

CRP定性(実施料19点、判断料144点、血液採取料12点)
メーカー
三和科学
三和科学
製品名
CRPテストA
CRPテストA
測定時間
1分
1分
包装単位
  50回
100回
希望価格
  7、000円
12、000円
ロタウィルス(実施料75点、判断料34点)
メーカー
TFP
栄研化学
第一科学
製品名
イムノカートSTロタウィルス
ディップスティック栄研ロタ
ロタレックスドライ
測定時間
10分
15分
12分
包装単位
30回
20回
20回
希望価格
17,000円
10,000円
  9、500円