医療界、変革の兆しの中、我々はどうすべきか 

大阪府内科医会会長  山家 健一

 すでにご周知のことですが、植松前会長がめでたく大差をもって日本医師会会長にご就任になられ、それに伴って大阪府医師会からも多数の先生が日本医師会の執行部として東京に進出なさいました。各新聞はこぞってこの大きな人事の変更を書いております。
 これに伴い、大阪府医師会の執行部も変わりました。酒井会長をはじめとして多数の新進気鋭の先生方により、医師会事業がより発展的に運営されることとなり、たいへん、ご同慶の至りと思っております。
 このような大きな変革がありまして、今までの医療、そして国民が持っておりますニーズ、これがこれから良い方向に進むことを期待しているところでございます。
 私個人としましては、医者の主張よりも先に、国民の皆さまに良い医療を提供しなければならない、そのためには我々は国民のために努力しなければならないと、非常に痛感しております。
 ある会で、病理の先生が次のような話をなさっていました。最近、病理解剖や手術の切除標本、つまり保管されている臓器は誰のものかという論議が起こっている。多くの議論を集約すると、これは亡くなった方のもので、最終的には遺族のものという考え方ができているということです。先般、某剖検例に関して、遺族から保管臓器の変換が求めれ、お返ししたということです。さて他方、日本の法律では、一人の人間が死亡しますと、火葬は1人の個体につき1回のみと決まっているので、そうしますと、この返還された臓器は火葬場で処理することはできないわけです。遺族の方は、これを持って帰ってどうされたのだろうかと病理学者は胸を痛めておられるそうであります。
 ごく最近、イラクで拉致事件があり、5人の日本人の命は助かりました。それについていろいろなコメントがされており、中にはかなり手厳しい議論も出ているようであります。しかしその立場の方になりますと、それぞれの主張をなさっておられます。権利を主張されたら、一応は耳を貸して聞かなければならないという日本の風潮が、今、わが国を支配しつつあるように思えます。
 このような、ある意味、非常にファジーな時代に、私たちは医療という非常に現実的な場で仕事をしなければならないのです。私どもが患者さんに接する時、どのように考え、国民は何を主張し、医者はどういう考え方をしなければならないのかということを切実に考えさせられる昨今でございます。先生方も、このように時代を迎えた今の医療のあり方に思いをいたすとともに、その時に執行部にお立ちになった大阪府医師会の代表の先生方に、心より我々は支援し、ご指導を賜っていかねばならないと考える次第でございます。 (平成16年4月17日)